【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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ネパールから:「コンフォート・ゾーン」を飛び出して

先日放送されたNHKの「クローズアップ現代」で、とても興味深い内容が取り上げられていました。アメリカの自治体で富裕層が中心となり、「州」の下の行政区分である「郡」から独立する「市」が相次いでいるというのです(詳しくは、番組HPをご覧ください)。

私は公共政策は素人ですし、恐らく番組で取り上げられていた背景以外にも様々な要因があるのだと思います。でも、もしこういった動きが増えて行ったら、どんな社会になってしまうんだろう?と、考えずにはいられませんでした。

西ドティADPの子どもたち

西ドティADPの子どもたち

あれこれ考えている時にふと頭に浮かんだのが、昨年12月まで1年間ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)で働いていたアニータスタッフとの会話でした。彼女は、WVJへの出向を打診された時、「自分の”コンフォート・ゾーン”(自分にとって快適な場所)を飛び出すことは、私にとって大きなチャレンジだった」と話してくれました。

チャイルド・スポンサーシップで支援している地域開発プログラム(ADP)の支援地域に出張すると、同じように「コンフォート・ゾーン」を飛び出して働いている、たくさんのADPスタッフに出会います。ADPの多くは、その国の中でも遠隔地や環境の厳しい地域で行われているため、多くのADPスタッフが単身赴任です。平日はADP事務所のそばで寝泊まりし、週末や休暇に都市部に残した家族の元に帰る…というスタッフが多くいます。

ディナスタッフ

ディナスタッフ

ネパールの西ドティADPで働くディナスタッフも、その1人です。首都カトマンズにいる家族と離れ、普段はADP事務所がある小さな町(カトマンズからは国内線で1時間+車で7時間かかります)に暮らしています。そこからさらに車で3時間凸凹の崖路を走ると、やっと支援地域の入口に到着します。

チャイルドの情報管理を担当している彼女は、支援地域にある小さな宿泊場所に何日間も泊まり込み、数時間かけて歩いてチャイルドの家を訪ねることもザラです。さらにこの地域は、女性に対する差別も残っており、ADP事務所のある町でも借りられる部屋がなかなか見つからず、苦労しているそうです。

野を越え山越え、数時間歩いて移動することもしょっちゅうです

野を越え山越え、数時間歩いて移動することもしょっちゅうです

今年4月に西ドティADPに出張した際、ディナスタッフと色々と話すことができました。

子どもが好きで、社会から取り残された子どもたちのために働きたくて、ワールド・ビジョンに入ったという彼女。

「この仕事をしていて一番嬉しいのは、どんな時?」と言う質問に、

「コミュニティに行って、子どもたちが自分を歓迎してくれた時や、人々の変化が見えた時。コミュニティに、夫を病気で亡くした女性がいたの。この地域では、“女性は結婚前は家族のために、結婚後は夫のために働くもの”っていう考えが強いから、夫を亡くして子どももいない彼女は、『私の人生はもう終わってしまった』って言って、家から出ることもできない状態だった。私は何度か彼女の家に行って、『そんなことない。あなたには、まだたくさんできることがある』って言って励ましてた。そうしたらある日、彼女が『(政府のやっている)識字教室に通い始めたの!』って、嬉しそうに話してくれた。こういう変化が見えた時は、すごく嬉しい」

と、ニコニコと笑いながら答えてくれました。

まだ若い女性であるディナスタッフが、西ドティADPで働く上では、様々な苦労があると思います。でも、そんな苦労をものともせず働いてくれる彼女のようなスタッフに、ワールド・ビジョンの活動は支えられているんだなと、頭の下がる思いでした。

自分の「コンフォート・ゾーン」を飛び出すということは、何も自分の国以外の場所で働く、ということだけではないと思います。「コンフォート・ゾーン」の範囲は人によってバラバラだと思いますし、日本の社会や、自分たちが暮らしている地域、職場や学校、もしかしたら自分と一番近い友人や家族といった人たちとの関わりの中で、気付かないうちに自分の「コンフォート・ゾーン」に閉じこもってしまうことがあるかも知れません。でも、そこから飛び出すことを示された時には、ディナスタッフのように勇気を出して、えいやっ!と一歩踏み出せる人間になりたいと願っています。

この記事を書いた人

蘇畑 光子
蘇畑 光子支援事業部 スポンサーシップ事業課 プログラム・オフィサー
恵泉女学園大学卒業後、2006年7月にワールド・ビジョン・ジャパン入団。国内でのファンドレイジング、広報を担当した後、2013年4月より支援事業部スポンサーシップ事業課に所属。南アジア諸国での支援事業の監理を担当。
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