【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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「近助」と「遠助」

東日本大震災の復興支援事業に従事していた2011年、東北の町で「近助(きんじょ)」(近所の人や同じ地域の人が助け合うこと)というフレーズを耳にした。一方、ワールド・ビジョン・ジャパンが行っているチャイルド・スポンサーシップなどの開発援助緊急人道支援は、遠くの人を助けるという意味で「遠助(えんじょ)」といえるかもしれない。

「近助」と「遠助」

私がまだ学生だった頃、友人に、将来開発援助の仕事をしたいと言ったら、「日本社会にもたくさんの課題があるのに、なんで海外、しかも途上国に行って支援するの?」と聞かれた。わざわざ「遠くの他人」のことまで日本人が気にかけなくても、という率直な意見だったのだと思う。そして私は、彼を納得させるだけの十分な説明をすることができなかった。

しかし、我々と途上国の人は本当に「遠くの他人」なのだろうか。世界中の人々と「私」はどれぐらいつながっているのだろうか。そんな漠然とした疑問を研究し、検証を試みた学者がいた。Stanley Milgramという心理学者は、1960年代後半に、世の中の見ず知らずの2人は何人を介してつながることができるかということを調べる社会実験を行った。その結果から、平均すると5人を介してアメリカの見知らぬ2人はつながっているという説をとなえ、それを「6次の隔たり」と名付けた。(「The tipping point」(邦訳『急に売れ始めるにはワケがある』)に詳しい説明があります。)

水汲みをするルワンダの子どもたち。丘が多いルワンダでは、水を運ぶことも大変な作業

水汲みをするルワンダの子どもたち。丘が多いルワンダでは、水を運ぶことも大変な作業

この6次の隔たりを我々の活動に当てはめれば、「友達の友達」もしくは「知り合いの知り合い」を5回繰り返すと、途上国の人とつながるかもしれないということだ。考えてみれば、知り合いの知り合いを繰り返していけば、見ず知らずの人とつながるという感覚は理解できる。いわば芋づる式につながっているのだ。今はfacebookのようなネットワークがあるから、この隔たりは1960年代より確実に小さくなっているだろう。開発途上国にいる「誰か」も「遠くの他人」ではなく、思ったよりも近い関係にあるのかもしれない。

 

もし「たった」5人分の隔たりの先にいる子どもたちが、日々の食糧がなかったり、学校に通えなかったり、紛争で安心して暮らすことができないとしたら。世界で起こっていることは無関心で済ませられない「身近なこと」ではないだろうか。学生時代に私がこうしたこと理解していれば、友人にこう言えたかもしれない、「途上国の人はそんなに遠い存在じゃないし、途上国の問題だって我々と無関係ではないよ」と。

ワールド・ビジョンが支援している途上国の子どもたちも、日本での普段の生活から考えれば遠くに感じる存在だが、チャイルド・スポンサーシップを通じてつながることができる、身近に感じてもらうことができる。彼らが直面している課題を解決するために、また支援してくださる方に途上国の人々やその課題を身近な問題だと感じてもらえるよう、我々は活動を続けていきたい。

駐在しているルワンダで、子どもたちと

駐在しているルワンダで、子どもたちと

この記事を書いた人

望月亮一郎
望月亮一郎支援事業部 開発事業課
広島市立大学国際学部卒、神戸大学国際協力研究科地域協力政策専攻修了。民間企業を経て、2007年から3年間、外務省専門調査員在ザンビア日本大使館にて勤務。同国の経済動向の調査および援助協調を担当。2010年2月から1年間、JICA専門家としてマラウイ財務省において開発援助プロジェクトのモニタリング能力向上のための技術協力を行う。
2011年3月にワールド・ビジョン・ジャパンに入団し、東日本大震災緊急復興支援部で緊急支援物資の配布および雇用生計向上事業を担当。2012年7月より支援事業部において、アジアにおける開発援助および緊急人道支援プロジェクトを担当。2015年10月よりルワンダ駐在。
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