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置かれた場所は途上国|バングラデシュで人をひとつにするスポーツとは!?

■ 貧富の差と国際化:2つの顔を持つバングラデシュ

バングラデシュ人民共和国はインド亜大陸の東端に位置し、日本の約4割の面積に約1億6000万人が暮らしています。人口密度はシンガポールなどの都市国家を除くと世界一高く、首都ダッカの空港から外に出た途端に「人が多い!」という印象を受けます。

バングラデシュのある家族

バングラデシュのある家族

気候は基本的には高温多湿ですが、短い冬には気温が10度近くまで下がります。季節風の影響で雨季と乾季に分かれており、雨季には東京の年間降水量の約2倍の3000mmを越える雨が降る地域も多くあります。また、ガンジス川とブラマプトラ川という大河が合流するデルタ地帯に国土の大半が位置することから洪水が頻繁に起きます。

雨期には洪水が頻繁に起きる

雨期には洪水が頻繁に起きる

バングラデシュは1971年までパキスタンの一部で、東パキスタンと呼ばれていました。イスラム教徒の多い国として共通点を持つ両国ですが、言葉も風習も違います。そのため、当時パキスタン国内で実権を握っていた西パキスタンから自分たちの国を手にするため、戦争を経て独立しました(バングラデシュという国名は「ベンガル人の国」という意味)。

独立から50年近く経った今もベンガル人が人口の98%を占めていますが、言葉も風習も違う少数民族も住んでいます。また、イスラム教徒が人口の約9割と圧倒的に多いながらも、憲法で宗教の自由が認められ、民主主義制の世俗政治を行っている国でもあります。国民1人あたりのGDPは日本の4%ほどしかありませんが、近年は毎年6%以上の経済成長を続けており、中間所得層が形成されています。ベンガル文化とイスラム教という二つのアイデンティティの間で貧富の差や国際化といった、さまざまな変化と課題に面しながらも発展しています。

テロの拡散という世界情勢に影響される形で、2016年にダッカでテロ事件があり、多くの日本人が犠牲となりました。テロの危険は今でもなくなったわけではありませんが、大多数のベンガル人は外国人に対して親切で寛容です。そして日本人と同じ様に平和で健康で不自由のない暮らしを何よりも望んでいます。そのために自分ができることは小さなことですが、できることをやっていこうと日々仕事をしています。

事業地で地域住民たちと立ち話(筆者は中央)

支援地で地域住民たちと立ち話(筆者は中央)

■ バングラデシュで大人気のスポーツとは!?

バングラデシュで一番人気のスポーツはクリケットです。街角や事業地の村の中でも、子どもたちや青年がプレーしているのを見かけます。日本ではなじみが薄いですが、イギリスの旧植民地の一部では、人気のスポーツです。ワールドカップのような国際大会もあります。残念ながらまだ女性の間ではスポーツ自体が普及していないため、街角で女性がプレーしているのを見ることはないですが、女子代表のチームもあります。

バングラデシュ男子代表チームはベンガルトラにあやかって「タイガース」と呼ばれており、人気はありますが、世界レベルでは強豪とは言えません。しかし今年の国際大会ではベスト4という好成績を収めることができました。準決勝は隣国の強豪インドが相手だったのですが、同僚は、スコアが気になって仕事に集中できないようで、就業時間の終わる5時になったらテレビの前に陣取って一喜一憂していました。

クリケットをして遊ぶ子どもたち

クリケットをして遊ぶ子どもたち。「クリケット選手になる」という夢を抱く子どもも多い

どのようなスポーツかというと、ボールとバットを使うのでイメージは野球に近いのですが、いろいろな相違点があります。まずは試合時間の長さ。試合形式が3つありますが、最長で5日間に及ぶ試合もあり、それでも決着がつかないと引き分けになります。

バッターが打って走ることで得た点数を競うのは同じですが、野球と違ってベース(のようなもの)が2カ所しかないので、バッターは本塁と一塁の間を行き来します。ファールボールがないので360度どこに打っても良く、ホームランのように打球がフェンス(実際は柵ではなく白線)を越えると6点入ります。簡単に点が入るので293対260といったスコアもざらにあります。他にも、アウト(ウィケットと言います)は各チーム10アウトまで、グローブは使わないので素手、投球がワンバウンドなど相違点を挙げるときりがありません。

スポーツには、ひとを平和裏にまとめる力がある

スポーツには、ひとを平和裏にまとめる力がある

傍から見ると変わったスポーツですが、人をひとつにする力、文化や宗教や言語の違いに関係なく人を引き付ける力は随一です。バングラデシュという国を平和な形で一体化する役割を、今後も担っていってほしいなと思います。

*こちらの文章は、キリスト新聞(10月3日)に掲載された記事を転載したものです

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この記事を書いた人

三浦 曜
三浦 曜バングラデシュ事業担当 プログラム・オフィサー
米国Washington and Lee大学理学部化学科卒業。在学中にケンタッキー州の都市貧困にかかわるNPOでインターンをした事でNPOの働きに興味を持つ。一般企業で勤務後、帰国し2008年9月にワールド・ビジョン・ジャパンに入団、支援事業部緊急人道支援課に配属となる。2009年から2011年までスリランカ駐在、2013年から2015年5月まで東ティモール駐在。2015年8月に退職し、ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院でMSc. Public Health in Developing Countries(途上国における公衆衛生)修士号を取得。2016年10月に再びワールド・ビジョン・ジャパンに入団、支援事業部開発事業第2課での勤務を開始。現在、バングラデシュ事業担当。
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