先月、モンゴルを訪れてきました。今年2度目の方でしたが、今回は厳寒の冬季です。
経済成長が進む中で広がる格差など新たに見えてきた課題を考え、これからの事業計画を話し合うことが目的でした。その合間をぬってチャイルドの家庭を訪問することができました。その際のエピソードを何回かに分けてご紹介いたします。
モンゴル西部バヤン・ウルギー地域に住むバルジンニャムくん(10歳)の住む家は、伝統的なゲルと呼ばれるテントです。
町では多くの家庭が集中暖房の整ったアパートに住む中、町外れのテントは強風が吹くと吹き飛ばされそうなたたずまい。
訪問した当日は外気温マイナス20度でしたが、1月頃にはマイナス40度になることもあるそうです。
10年ほど前に夫を亡くした、バルジンニャムくんのお母さん。仕事は?と尋ねると「学歴がなく職業技術もないためなかなか安定した仕事に就けなくて・・・」との返事。幸い、チャイルド・スポンサーシップによる支援により、ゲルや衣類を整えて寒さをしのげているとのこと。とはいえ、燃料費がかさむので、ストーブはなるべく節制し、室内でもコートを着て過ごしていました。
バルジンニャムくんは、学用品なども支援を受け、チャイルド・スポンサーという自分を応援してくれる存在に励まされて、希望をもって学校にも通っているそうです。
将来は何になりたいのか尋ねると「将来は大工(=家具づくりの職人)になりたい!」と笑顔の答えが返ってきました。その理由は「近所に住む大工さん、木などを自由自在に自分の望むカタチに加工し、生活を豊かにしてくれる家具を作り出すたくましい家具職人さんの姿に影響を受けたから」とお母さんが説明をしてくれました。そしてその大工さんが作ってくれた民族楽器の馬頭琴を取り出して演奏して見せてくれました。
1990年代初頭の社会主義体制の崩壊後、ひとり親家庭や、障がいを抱えるより脆弱な人々が貧困層に落ち込むリスクが高まっています。バルジンニャムくんのお母さんのように、安定した仕事に就けていない人たちがどうやって安定した収入を得て、子どもたちの生活を支え続けていけるようになるか、現地スタッフと共に支援のあり方により一層の工夫と努力をするよう話し合いました。
引き続き、このような子どもたちを応援してください。
この記事を書いた人
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国立フィリピン大学社会福祉・地域開発学部大学院留学。
明治学院大学大学院社会学研究科社会福祉学専攻博士前期課程修了。
社会福祉専門学校の教員を経て、2000年1月より社団法人日本キリスト教海外医療協力会のダッカ事務所代表としてバングラデシュへ3年間派遣。
2004年12月から2007年3月までは国際協力機構(JICA)のインド事務所企画調査員。
2007年9月から2年半は、国際協力機構(JICA)のキルギス共和国障害者の社会進出促進プロジェクトで専門家として従事。
2010年9月、ワールド・ビジョン・ジャパン入団。
支援事業部 開発事業第2課 プログラム・オフィサー。
2020年3月、退団。
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