【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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あるNGO職員の信念、そして生活

小生が随分昔にNGOへの就職を希望する方々向けに記したブログへのアクセスが多いらしく、うれしい反面NGOが財政的に苦しい状況の中で就職希望者への門戸を一向に広げられない事実の前に、皆さまに申し訳ないという思いでもあります。

これまでに幾つかの大学に招かれ、あるいはこちらから出向き学生たちに向かってNGOへの就職活動のアドバイスを積極的に行ってきました。個人的な質問にも時間を惜しむことなく丁寧にお答えしてきたつもりです。

それは一人でも気力、能力、そして国際協力に心ある若者がNGOで活躍してほしいという思いからであり、それはつまり海外の貧しい方々への支援が拡大すると同時に日本の市民社会の発展に貢献すると思っているからであります。

ここで私は様々な方々から聞かれた一つの重要な質問に関して、今まで本音では語っていなかったことに気づき、ここに記したいという思いに至りました。その質問というのは、ズバリ、「生活は大丈夫でしょうか?」というものです。

「生活」という言葉の中に包含される具体的な意味は、質問者の年齢や状況により様々であり、親からの独立、将来の結婚、子どもの養育から教育、そして老後の蓄えまで人生設計の中の「生活」であります。

ケニアの支援地の夕日

ケニアの支援地の夕日

私は質問者の状況に合わせて、ワールド・ビジョン・ジャパンというNGOで24年間生活してきた自分の経験をベースに丁寧にお答えしてまいりました。私自身は、NGOに就職してから、親元を離れ、結婚し、住宅を購入し、現在4人に子どもを妻と共に育てている「生活者」であります。

私の給与がほかのNGOスタッフや会社員に比べて多いわけではないと思いますし、いやむしろ同年代のサラリーマンの平均年収より下ではないかと推察する次第です。しかし不思議と経済的にこまった経験は今までありません。いや、むしろ、自分の生活は、結構豊かだと実感しております。

なぜならば、この5人の妻子の他に、我が家では中型犬1匹と猫2匹、おまけに殖え続けて計8羽になるウサギたちが私の給料により支えられており、家族に充分の愛嬌を振りまいてくれます。(こいつらは結構食べますが!)また、地元の農地を少し借り無農薬の野菜を育て食し、将来のためにと学資保険に加入し、年金を納め老後に備えもしております。因みに妻は専業主婦であり、パートに出ているわけでもありません。実に不思議です。

私には、「生活」に関して一つの信念があります。これを他の方にお話しすると宗教的な押し付けになってしまうので、この部分を強調することを控えてきまいりました。しかし、もしかしてある方々にとっては何かのアドバイスになるかも知れないと考え、あえて今回は書かせていただくことにいたしました。

私はクリスチャンであります。幼少のころクリスチャンの両親に聖書の価値観を教えられました。その聖書の中に「貧しい人に施す人は、不足することがない」という教えがあります。私は単純にその言葉を信じて「生活」してきました。

だからどんなに給与が低く生活がギリギリで心穏やかならざる時でも、献金・募金は別物として捧げてきました。特にワールド・ビジョン・ジャパンというNGO職員となった時から、一人の募金者としてチャイルド・スポンサーになり、あるいは様々な場でできる限りの募金をしてまいりました。時には不信仰の誘惑とも闘いながらですが、この聖書の言葉を信じてまいりました。

支援地域にて。花を持っているのが筆者

支援地域にて。花を持っているのが筆者

そして信じたとおり24年間一度も不足を感じることのない「生活」を与えられてきていると思っております。いやむしろ、チャイルド・スポンサーとしてあたかも5人目、6人目のわが子の成長を見られるような喜び、小さな支援が何倍にもなって人々の生活を変えることができた恵みを心より実感しております。

私の信念を他の方々に押し付けるつもりは、毛頭ありません。しかし、「良く生活できるな!」という友達からの問、「子どもの教育費は大丈夫?」とういう妻や親戚からの問、「結婚できますか?」というNGOへ就職を希望するも若者からの切実なる問、そして、何よりも「これからの生活大丈夫だろうか?」という不信仰なもう一人の自分自身の問に対してあえて真正面から答えたかった次第であります。

この記事を書いた人

高瀬一使徒
高瀬一使徒
大学卒業後オーストラリア留学などを経て、青年海外協力隊に参加モロッコに2年間滞在。1989年にワールド・ビジョン・ジャパン入団。タイ駐在などを経て、1997年より支援事業部部長(旧 海外事業部)。現在までに訪れた国数約85カ国。4人の子どもの父親でもある。2014年3月退団。
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