国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパンのスタッフブログ

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15歳の小学生が言ったこと

去年の2月より東ティモールにおける駐在を初めて、1年半近くが過ぎてしまった。

自分が担当している事業は、外務省からのNGO連携無償協力という助成金と皆さまからの募金で実施している。最長で3年間事業を行うものの、1年単位で区切られており、毎年申請書や報告書を提出する仕組みになっている。

数カ月前に1年目が終わり事業の効果を報告するため、事業地において受益者より簡単な面接方式による聞き取り調査を行った。実際に面接を行うのはティモール人のスタッフなのだが、自分は面接結果を集めて、その分析をしていた。

こういった調査を行う前にあらかじめ質問票を用意するのだが、大体の答えは予想できる。

例えば、衛生啓発活動を行った小学生を対象にして行った聞き取りの質問の中には「いつ手を洗うの?」という質問があった。想定されている回答は「ご飯を食べる前」、とか「トイレの後」とか、「遊んだ後」という答えで、実際そういう答えが多いのだが、中には「野菜を洗う時」という答えもあり、「まあ厳密に言えば間違えではないけど、少し意図しているのと違う!」と分析中に突っ込んでしまう回答も見受けられた。

教室でじゃれる事業地の小学生

教室でじゃれる事業地の小学生

中でも心に残ったのが15歳の女の子の回答だった。まず年齢に目が行った。この子は15歳だが、小学生だ。

話が脱線するが15歳の小学生自体は東ティモールでは珍しくない。

もともと東ティモールでは地域ごとに独自の言語があり、その上に国民が意思疎通できるようにテトゥン語という公用語がある。ポルトガル語も公用語ではあるが実際に理解できる国民はほとんどいない。特に都市部以外では母言語が地域の言語である場合が多く、テトゥン語ですら小学校に入る時点であまり理解できない子も少なくない。

小学校はテトゥン語、およびポルトガル語を使って教えられているため、授業についていけない子どもが多い。それが本来であれば中学生の年齢であるが、いまだに小学校で勉強をしている生徒が多いという一因となっている。

さて、話を戻そう。この15歳の女の子である。上記のように年齢だけではそこまで気を留めなかったかもしれない。東ティモールには15歳の小学生はざらにいるのだ。

しかしそこには、ほかと違う答えがあった。7、8歳の子どもたちは「いつ手を洗うの?」という質問に対して「遊んだ後」と答えていたのだが15歳の子どもは「働いた後」と答えていた。働くと言っても、年齢相応の手伝いをするという程度だと思うが、やはり7、8歳の子どもと15歳の子どもでは周りから求められている役割や、本人が見る世界が違うのだなと思わされた。15歳の小学生は自分の未来をどう描いているのだろうか。

手洗いのデモンストレーションを行う事業地の小学生

手洗いのデモンストレーションを行う事業地の小学生

ちなみに聞き取り調査の結果は、手洗い、およびトイレの使用で良い衛生習慣が認められたのは、聞き取りが行われた小学生(啓発活動の参加者の一部)の32%だった。

事業以前はその割合が3%であったために、衛生習慣の改善が見受けられるものの、手放しで喜べるレベルではなかった。今後の活動の行い方に関してもいろいろ考えさせられている。

三浦スタッフが担当している事業についてはこちら

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