【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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人生で一番泣いた日

日本で5月5日が「こどもの日」なのはよく知られていますが、11月20日が「世界子どもの日」であることは・・・あまり知られていないように思います。

「児童権利宣言」と「子どもの権利条約」が国連で採択された11月20日が「世界子どもの日」として記念されています。「児童権利宣言」は、子どもが差別されないことや教育を受ける権利を持つこと等をうたい、1959年11月20日に国連で採択されました。

わたしが「見たい未来。」

改めまして、こんにちは。グローバル教育を担当しております松本と申します。いつもあたたかいご支援をありがとうございます。

ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)は、11月1日から「見たい未来を。さぁ、一緒に。」キャンペーンをスタートしました。

皆さんが「見たい未来。」とは、どのような未来でしょうか?
わたしが「見たい未来。」は、産まれてきてくれた赤ちゃんみんなが5歳を超えて大きくなれる、そんな未来です。つまり、5歳未満児死亡数ゼロの世界です。

栄養失調の子ども連れてワールド・ビジョンの「栄養トレーニングクラス」にやって来たウガンダのお母さん。栄養についての知識と調理方法を学んでいます

栄養失調の子ども連れてワールド・ビジョンの「栄養トレーニングクラス」にやって来たウガンダのお母さん。栄養についての知識と調理方法を学んでいます

今、世界では5歳のお誕生日を迎えることが出来ずに亡くなる子どもたちが年間520万人にものぼります。6秒に一人、1日に約1万4,000人もの子どもたちが尊い命を失っています(出典:UNICEF2020 )。

わたしは仕事で学校などを訪問させていただき、児童生徒の皆さんに世界の子どもたちについてお話をさせていただく際に、「6秒に一人」という表現を以前は、よく使っていました。インパクトがあり、覚えやすいこともあり、お寄せいただく感想文に、このことが心に残ったと書いてくださることが一番多いです。

命が消えてしまうかもしれない、という経験

私事ですが、2019年に子どもを出産し、育児休暇をいただきました。復職させていただいてから再び学校で「6秒に一人、子どもが命を落としている」という言葉を口にしようとした時に、涙が込み上げそうになってしまうようになりました。我が子も、命が消えてしまうかもしれない経験をしたからです。

5歳未満児死亡の約半数は新生児のうちに命を落としています。生後わずか28日すら生きることが出来ずに命を落としているのです。新生児の死亡原因は、合併症、感染症で80%を占めます(出典:UN-IGME-Child-Mortality-Report-2018)。これらは、先進国ではほとんど見られない、解決が可能な原因です。お母さんが産前産後健診をうけること、医療施設で専門家のケアのもと出産すること、清潔な水を飲む、石けんでの手洗い、良好な栄養摂取と抗生物質の投与などによって、合併症、肺炎、下痢を防ぐことができると言われています。

新生児の死亡原因で最も多いのは、「早産による合併症16%」です。わたしの子どもは、早産でした。

妊娠5カ月の時に突然入院となり、絶対安静、24時間点滴の状態となりました。医師から告げられた「今、産まれてきたら100%助かりません。日本の医療をもってしても、生きられないのです」という言葉で目の前が真っ暗になりました。お腹の中からポコポコと蹴ってくる胎動を感じながら、この小さな命が消えてしまうかもしれないという恐怖と悲しみに襲われました。この日、人生で一番泣きました。

入院中に、産まれてきそうになってしまう危険が続き、さらに設備の整った大きな病院へ救急車で搬送されました。集中治療室でケアを受け、子どもの命は守られました。

そして、出産予定日より2カ月早く、1,500グラムに満たない「極低出生体重児」、いわゆる未熟児として子どもが産まれました。産まれた直後から保育器でお世話になり、NICU(新生児特定集中治療室)にしばらく入院しました。医師や看護師の皆さんのケアにより、その後も命が守られ、感染症の可能性が発覚した際にも早期発見と治療により守られました。こうして子どもの命が守られ、今、2歳を迎えることができています。

2歳になった息子と筆者

2歳になった息子と筆者

新しい命が産まれ、成長してくれることは、決して「当たり前」ではないのだということを身をもって知りました。

520万人という数字の背後にある、涙の数

世界中の子どもたちに、わたしの子どもが受けたような医療が整っているでしょうか?
保育器、NICU、酸素チューブ、心拍モニター、抗生物質等々数え切れませんが、どれか1つでも欠けていたら、子どもの命は助かっていなかったかもしれません。

わたしを運んでくれた救急車、24時間の点滴、そして何よりも医師や看護師の皆さんの存在が、世界中のお母さんにあるでしょうか。

520万人という数字の背後に、どれだけたくさんのお父さん、お母さん、そして医師や看護師の皆さんの涙があるでしょうか。そのことを思うと、「6秒に一人、子どもが命を落としている」という現実を口にすることが簡単ではなくなってしまいました。

でも、だからこそ、この現実を一人でも多くの人に伝え、変えていかなくてはならないと胸が熱くなるのです。

バングラデシュに住む20歳のタスリマさん。「妊娠して、とても不安でしたが、ワールド・ビジョンのコミュニティワーカーから健康状態の確認や産後のケアについて学び、無事に出産することができました」

バングラデシュに住む20歳のタスリマさん。「妊娠して、とても不安でしたが、ワールド・ビジョンのコミュニティワーカーから健康状態の確認や産後のケアについて学び、無事に出産することができました」

わたしは医師でも看護師でもありませんので、出来ることは限られています。無力さを覚えますが、そんな時に立ち返るのは、ワールド・ビジョン創設者ボブ・ピアスの言葉です。

「”何もかも”はできなくとも、”何か”はきっとできる」

ワールド・ビジョン創設者ボブ・ピアス

ワールド・ビジョン創設者ボブ・ピアス

ワールド・ビジョンは、子どもを取り巻く環境を改善する長期的な支援活動「チャイルド・スポンサーシップ」を展開しています。その活動を通して、保健サービスを提供できる人材を育成し、子どもの病気予防や栄養状態の改善、妊産婦のケア等の啓発・トレーニングを実施しています。保健施設の整備、安全な水の供給、女性に対する教育機会の提供など、地域の課題にあわせた活動を実施することによって、520万人という数字を少しずつゼロへ近づけることができるはずです。

11月20日をお祝いの日にしたい

1990年時点では年間1,250万人、2.5秒に一人、子どもが命を落としていました。それが、520万人にまで減っているのです。これは世界中の努力が実を結んだ表れではないでしょうか。

いつの日か、5歳未満児死亡数がゼロになり、11月20日「世界子どもの日」はそのことを世界中でお祝いしたい。そこでは子どもたちの笑顔がキラキラ輝いている。
そんな未来の実現を心から願い、WVJの仕事に励んでいきたいと思います。

ワールド・ビジョンの「栄養クラス」に参加するバングラデシュの親子。この地域では5歳未満の子どもの26.8%が発育不全になっていましたが、母親たちが集まって栄養について学び、子どもたちの健康状態が改善されてきています

ワールド・ビジョンの「栄養クラス」に参加するバングラデシュの親子。この地域では5歳未満の子どもの26.8%が発育不全でしたが、母親たちが栄養について学び、子どもたちの健康状態が改善されてきています

マーケティング第1部 コミュニケーション課
松本 謡子


関連リンク:
11月20日は「世界こどもの日」
チャイルド・スポンサーシップ

松本スタッフの過去のブログ:
多様な仲間と、同じ「見たい未来」の実現を目指す
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グローバル教育レポート:サマースクール参加者の「その後」
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この記事を書いた人

WVJ事務局
WVJ事務局
世界の子どもたちの健やかな成長を支えるために、東京の事務所では、皆さまからのお問合せに対応するコンタクトセンター、総務、経理、マーケティング、広報など、様々な仕事を担当するスタッフが働いています。
NGOの仕事の裏側って?やりがいはどんなところにあるの?嬉しいことは?大変なことは?スタッフのつぶやきを通してお伝えしていきます。
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