【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

Read Article

手紙と祈りの力

インドで暮らす9歳の女の子、マヤちゃん。アメリカ人のケイさんがチャイルド・スポンサーになっています。この記事は、マヤちゃんの身に起きた変化について、ワールド・ビジョン・インドのスタッフがインタビューをして書いたものです。

*****

手紙と祈りの力
~スポンサーの励ましで、引きこもりを卒業したマヤちゃん~

インドのニューデリーのスラムのくすんだ埃っぽい街中には、大勢の人がうごめき、風雨にさらされた古いアパートが立ち並んでいます。ここに暮らすマヤちゃん。「希望」とは、およそほど遠い状況で毎日を過ごしていました。

この貧しい環境の中で、マヤちゃんは誰からも受け入れられていませんでした。
てんかん、という持病があったからです。てんかんの発作を起こすと、両足手はこわばり、口から泡を吹きました。母親はただ恐れて見ているばかりでした。

学校でも何度か発作を起こし、学校からも登校を拒まれるようになりました。マヤちゃん自身、いつ起こるか分からない発作に怯えていました。肉体労働をして生計を立てる両親は、マヤちゃんに薬を買うため、一生懸命働きました。娘の病気を治したい一心で、借金をしたり、呪術医を頼ったりもしました。

インドのスラムに住むマヤちゃん。チャイルド・スポンサーと手紙のやり取りをするようになる前は、マヤちゃんは自分の将来に希望が持てませんでした

インドのスラムに住むマヤちゃん。チャイルド・スポンサーと手紙のやり取りをするようになる前は、マヤちゃんは自分の将来に希望が持てませんでした

しかしその努力もむなしく、マヤちゃんの状態は悪くなっていく一方でした。
休学期間が長引き、同級生と比べて勉強がどんどん遅れていきました。マヤちゃん自身もそれを引け目に感じ、だんだんと自分の殻に閉じこもり、引きこもってしまうようになりました。からかわれたり、いじめられたりすることもあり、マヤちゃんは苦しんでいました。

「ずっと座っているだけで、何もすることがなかった。いつも頭が重かった。1日のほとんどをお母さんと一緒に過ごして、外には出なかった」とマヤちゃん。

ある日、転機が訪れました。遠く離れた場所から、1通の手紙が届いたのです。ある女性が、マヤちゃんのチャイルド・スポンサーになったのです。

その女性は、ケイ・ヨークさん。あるイベントに参加していた時、マヤちゃんの写真とプロフィールを目にしました。
当時ケイさんは母親を亡くしたばかりでしたが、偶然にもマヤちゃんは亡くなった母と同じ誕生日でした。

「彼女のチャイルド・スポンサーになることが、母との思い出を大切にし続けられる方法だ」とケイさんは思いました。

チャイルド・スポンサーになって以来、ケイさんは数カ月おきにマヤちゃんに手紙を書きました。ケイさんの孫娘はマヤちゃんと同じ年頃なので、自分の孫娘に宛てて書くようだったそうです。

ケイさんが書く手紙は、励ましと祈りに満ちていました。ヘアリボンや写真のような、ちょっとしたプレゼントが同封されていることもありました。

「親愛なるマヤちゃんへ。たった今、あなたからの素敵なお手紙を受け取りました。ずっとずっと大切にしますね。皆に見せて、インドにいる女の子が私に送ってくれたのよ、彼女を愛しているわ、と言っています。あなたの勉強が順調なことを手紙で読んで、とても喜んでいます。あなたとあなたの兄弟、お母様とお父様のために毎日祈っています。毎日を笑顔で過ごしてね。あなたの素敵な笑顔は私を本当に幸せにしてくれます。 愛をこめて。ケイより」

マヤちゃんは手紙を宝物のように大切にしていました。手紙を受取るとすぐに返事を書きました。「親愛なるケイさま」と呼ぶ女性に、祈りとプレゼントへの感謝を込めて。

ケイさんからの手紙について、マヤちゃんはスタッフにこんな風に語ってくれました:
「わたしとわたしの家族のために祈っていると書いてくれました。わたしの家族のために祈ってくれる人がいるんです。お手紙を読むと、あまりに嬉しく泣いてしまうこともありました。涙が自然にこぼれていました」

マヤちゃんは、心に大きなプレゼントを受け取っていたのです。自分を信じ、気にかけてくれている人がいることを知ると、自分がちゃんと一人の人間として認められていると感じることができるのです。

「ケイさんの祈りは私を癒してくれました。ケイさんは、『恐れないで。信じていれば、すべてよくなります』と言ってくれました。わたしはケイさんの言うとおりにしました」とマヤちゃん。

ケイさんとマヤちゃんが出会ってから3年が経ちました。ケイさんの励ましで引きこもりを卒業したマヤちゃんの生活は、大きく変化しました。

マヤちゃんは学校に戻り、ワールド・ビジョンがチャイルド・スポンサーシップの支援により、地元で運営している補習センターにも、定期的に通って学力を補っています。ワールド・ビジョンが主催するライフ・スキルのトレーニングにも通って、子どもの権利、衛生環境、アルコールとたばこの悪影響について学んでいます。自分を大切にするようになり、人前で発言できるようにさえなりました。

ケイさんは、ワールド・ビジョンのスタッフから連絡を受けるまで、自分の手紙がどれほどマヤちゃんに大きな影響を及ぼしていたか、知らずにいました。

「マヤちゃんの心と生活に変化があったことを聞いて嬉しいです。もっと彼女のために何かしたいと思うようになりました」

マヤちゃんがチャイルド・スポンサーからの手紙を待ち焦がれているように、ケイさんもまたマヤちゃんからの手紙を楽しみに待っています。

「彼女は家族の一員です。わたしの家族は皆、マヤちゃんのことを知っています。彼女は地球の反対側にいるのに、私たちはつながっている。本当に素晴らしいことです」とケイさんは言います。

すべては、一通の手紙と一つの祈りから始まったのです。

アニラ・ハリス (ワールド・ビジョン・インドのスタッフ)

チャイルドに手紙を気軽に書けるEレターはこちらから

この記事を書いた人

WVJ事務局
WVJ事務局
世界の子どもたちの健やかな成長を支えるために、東京の事務所では、皆さまからのお問合せに対応するコンタクトセンター、総務、経理、マーケティング、広報など、様々な仕事を担当するスタッフが働いています。
NGOの仕事の裏側って?やりがいはどんなところにあるの?嬉しいことは?大変なことは?スタッフのつぶやきを通してお伝えしていきます。
Return Top