国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパンのスタッフブログ

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危険な現場

ケニヤにて

ケニヤにて

「NGOで働いています。」と自己紹介すると、「危険なお仕事で大変ですね。」という言葉をいただくときがある。確かに途上国、それも紛争地の支援事業は危険が伴う。つい最近アフガニスタンでは、日本のNGOスタッフが反政府グループに誘拐・殺害される事件が起こってしまった。国際協力を行なっている同じ仲間として、心より尊い支援活動に敬意を表すと同時に、このような事件に深い悲しみと怒りを覚える。今後危険地で支援活動をするNGOスタッフを含めた援助関係者は、武器を持たないソフト・ターゲットとして益々標的にされる可能性が高くなっている。

ワールド・ビジョンの場合、アフガニスタンのような特に危険な国で活動する場合は、必ずセキュリティー・オフィサーといわれる安全確保の専門のスタッフが、現場のスタッフの安全を守るために常に情報収集による状況分析を行いスタッフに対し安全確保に関する指示を出す。セキュリティー・オフィサーが危険と判断した地域にはスタッフは行くことはできず、危険が増大すれば、セキュリティー・オフィサーの判断のもと外国人スタッフの国外退去、ローカルススタッフの自宅待機等の措置がとられる。また最悪な事態になれば事務所の閉鎖やその国からの全面撤退も余儀なくされる。スタッフの安全確保は、セキュリティー・オフィサーの判断に委ねられているが、危険地へ派遣されるスタッフ自身も個人としてどのように危険を回避するかのトレーニングを受けなければならない。

カンボジアにて

カンボジアにて

一方、人道支援のためには時に危険覚悟で地雷の埋設された道路を走り、武装勢力からの攻撃の危険性がある支援現場へ行かなくてはならないこともある。 そこが援助のプロであり、スタッフのコミットメントが必要とされるところである。しかし団体として危険な現場へ行くことをスタッフに強いることはできない。団体としては安全確保への最大の努力をしつつも、そこに留まって仕事を続けるか離れるか(Stay or Leave?)の最終選択はスタッフ自身に委ねられる。

その他には、サハラ砂漠以南のアフリカではマラリア、フェラリア等の感染症も援助関係者にとって大きな危険の1つだ。これは蚊帳や蚊取り線香で自己防衛することで回避できる。食べ物から感染するコレラ、チフス、食中毒、動物を媒体として感染する狂犬病などは、危険と思われるものを食べない、近づけないという原則で自己防衛できる。

最後に安全確保の方法には、前述のセキュリティー・オフィサーのような特別な知識と経験をもった専門家のアドバイスが必要な場面もあるが、多くの場合はそこで暮らす現地の人たちのアドバイスに従うことが最重要である。その意味で現地の人たちとの信頼関係の構築は、危険な現場で支援活動をする際の基本と言える。

私個人の事を述べれば、過去にカンボジア内戦、ボスニア紛争、ソマリア内戦、ルワンダ内戦、アンゴラ内戦、南部スーダン内戦等の支援現場に行く機会があり、銃火器、地雷、マラリア等の危険と隣り合わせにはなったが、地域に根ざした活動をしているワールド・ビジョンの現場のスタッフに守られて、下痢、風邪、虫刺され程度の被害で済んでいる。誠に感謝なことである。

この記事を書いた人

高瀬一使徒
高瀬一使徒
大学卒業後オーストラリア留学などを経て、青年海外協力隊に参加モロッコに2年間滞在。1989年にワールド・ビジョン・ジャパン入団。タイ駐在などを経て、1997年より支援事業部部長(旧 海外事業部)。現在までに訪れた国数約85カ国。4人の子どもの父親でもある。2014年3月退団。
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