【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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[インド]“関わり”がもたらすもの

「スケジュール・カーストの人々と他のコミュニティの人々の間で対立が発生。スケジュール・カーストの人々は日雇い労働の仕事を取り上げられ、収入を絶たれてしまったため、緊急支援として食料や水などを支給した」 インドで実施しているカンドゥクール地域開発プログラム(ADP)の活動レポートに書かれていた一文です。一体どういうことなのだろう…と思いながら、先日初めて現場に出張しました。

インドの支援地域中心部の風景

中心部の風景

カンドゥクールADPは、インド南東部のアンドラ・プラデーシュ州で2011年に始まりました。支援対象地は郡の中心部に近いこともあり、農村部で実施しているADPと比較すると、インフラや人々の暮らす住居は整備されており、医療や教育といった公的なサービスにもアクセスしやすそうな印象でした。

スケジュール・カーストの住民が暮らす家

スケジュール・カーストの住民が暮らす家

しかし、上記のスケジュール・カーストの人々のコミュニティを訪問すると、環境はまったく異なっていました。土地を持たない彼らは、州政府から支給された、幹線道路と畑に挟まれたわずかな土地で暮らしています。家はダンボールやビニールシートなどを組み合わせた、非常に簡素なものです。電気は届いておらず、下水道も整備されていません。周辺地域との明らかな差に、衝撃を受けました。

話を聞かせてくれた人々

話を聞かせてくれた人々

集まってくれた人たちは、「大雨が降ると、家の中に水が入り込んでくる」「サソリや蛇が子どもを襲うことがある」「政府は私たちの地域にも電気と水を整備する、と言っているのに、いつまで経っても始まらない」と話してくれました。ADPスタッフと一緒に、時間がかかってもあきらめず、ねばり強く訴えていこう、と励ましました。 翌日、彼らのために今後どのような支援を実施すべきか、ADPチームと話し合いました。他のADPでは異なる宗教間の和解や相互理解を促す活動を行っているケースもあるため、スケジュール・カーストの人々と他のコミュニティの人々の間で、同様の活動ができないだろうかと提案してみましたが、ADPスタッフは「彼らは歴史的にずっと差別されてきており、他の人々との関係は非常にセンシティブのため、それはすべきではない」と答えました。 どうすればよいのだろう…。話し合いが行き詰った時、寡黙(そしてコワモテ)なADPマネージャーが言いました。「一番大切なことは、まず我々自身が彼らを愛し、彼らのそばにい続けて、ともに時間を過ごすことだ。関係を築いていく中で、彼ら自身の中から変化が生まれるのだと思う」 実際、スケジュール・カーストの人々のコミュニティを担当しているスタッフによると、ADP開始当初はスタッフがやって来る姿が見えると、彼らは走って逃げてしまっていたそうです。あきらめずに何度も何度もコミュニティを訪問していくうちに、少しずつ心を開き、スタッフの言葉に耳を傾けてくれるようになったそうです。そして、親たちが子どもを学校に通わせるようになったり、手洗いをするようになったりと、小さいですが確かな変化が生まれています。

支援地域の子どもたち

支援地域の子どもたち

結論として、これまでも実施してきた収入向上支援や教育支援、啓発活動、アドボカシーなどをより強化して行うことになりました。しかしこの話し合いは、私自身にとって学びの機会になりました。一人の人間として心を開いて相手に向き合うこと、あきらめず、寄り添い続けることが、本当の意味での変化を生み出す、地道だけれど確かな方法なのでしょう。大切だけど忘れがちなことを、リマインドしてもらったように思います。同時に、フロントラインで日々地道な働きを続けてくれているADPスタッフに、改めて感謝を覚えました。 仕事だけでなく、個人的な生活においても、人との関わりがしんどい時にはあの(コワモテな)ADPマネージャーの言葉を思い出して、あきらめずに前へ進めるようになりたい、と願います。それが相手だけでなく、きっと自分自身にも変化をもたらし、成長させてくれると思うからです。 チャイルド・スポンサーシップとは 世界の問題と子どもたち

この記事を書いた人

蘇畑 光子
蘇畑 光子支援事業部 スポンサーシップ事業課 プログラム・オフィサー
恵泉女学園大学卒業後、2006年7月にワールド・ビジョン・ジャパン入団。国内でのファンドレイジング、広報を担当した後、2013年4月より支援事業部スポンサーシップ事業課に所属。南アジア諸国での支援事業の監理を担当。
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