【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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祈りの日

9月に入り、今年も年度末が近付いてきた。国際NGOであるワールド・ビジョンの年度は10月に始まり、9月に終わる。そして新しい1年が始まる10月1日は全世界のワールド・ビジョン(WV)にとって特別の日だ。この日は全世界の全WVの全スタッフが心を合わせて祈る「祈りの日」なのだ。

スリランカの親子

スリランカの親子

WVは1950年、ボブ・ピアスによってアメリカで設立された。設立当初、「ワールド・ビジョン」という何とも壮大な名前が付けられた組織は、小さな貸しオフィスにたった一人の男がいるだけで、その滑稽さに多くの人が嘲笑したという話が伝えられているらしい。

それから62年が過ぎた今、WVは世界約100カ国で活動し、総スタッフ数4万4,000人を擁する世界最大のNGOの1つとなった。そのすべてのスタッフがこの日、心を合わせて祈り、新しい1年を始めるのだ。

実はWVのスタッフにとって、「祈る」ということはとても日常的なことである。15分ほどという短い時間ではあるが、仕事の手を一時止めて、スタッフみんなで集まって共に祈るという時間が毎日あるのだ。東京事務所では昼食時間の前に、スリランカの事務所では朝、仕事が始まる前である。

貧しく抑圧された人々や紛争や災害で困窮している人々に支援の手を差し伸べることができるように、公正で平和な社会を実現するための変革をもたらすことができるように、世界中のすべての子どもたちが持って生まれた豊かないのちを享受し、幸せに生きることができるように、私たちスタッフが真摯にそれぞれの任務に取り組み、WVの使命に貢献することができるように、また活動の中でどんな困難に直面してもそれを乗り越えて行けるように、危険や苦難の中で働くスタッフの安全が守られるように、またスタッフ個人のことでもみんなに祈ってもらいたいこと-例えば家族の病気など-があればシェアしてそのことも一緒に祈る。

WVの事務所にはビジョン・ステートメントが大きく記されている(スリランカ・キリノッチ事務所)

WVの事務所にはビジョン・ステートメントが大きく記されている(スリランカ・キリノッチ事務所)

そしてWVのビジョン・ステートメントにはこうある。

私たちのビジョンは、すべての子どもに豊かないのちを
私たちの祈りは、すべての人の心にこのビジョンを実現する意志を

ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)はNGOとしてはかなり広告に力を入れている。WVJの広告を目にしたことのある方の中には、「広告にかけるお金があれば活動費に回せばいいのに」と感じる方もおられるかもしれない。

確かにそうすれば一時的に活動費は増額できるかもしれない。しかし世界にはどんなに悲しい現実があるか、残念ながら日本ではまだあまり知られているとは言い難い。
私たちは1人でも多くの人がWVJの広告に目を留めて、「世界中の何千万人という子どもたちが安全な水も充分な食糧もなく、豊かないのちを享受することもなく死んでいく」という事実を知ってほしいと願っている。

「ワールド・ビジョン」という組織が独力でひとりでも多くの子どもを救いたいのではない。私たちは貧しく抑圧された人々とも、先進国の人々とも、共に社会をより良い方向へと変革していくためのパートナーとして働き、一緒に一人でも多くの子どもを救っていきたいのだ。

スリランカの赤ちゃん

スリランカの赤ちゃん

21世紀を迎えた今、祈ることなど前時代的な非科学的なことだと一笑に付されるだろうか。

しかし、このままではいけない、子どもたちをこんな風に死なせてはいけない、と思う人が増えて行き、すべての子どもたちに豊かないのちが輝くために自分には何ができるかを誰もが本気で考えるようになった時、一人一人の想いが結集したエネルギーは決して小さなものではないはずだ。その力はこの社会の何かを確実に変えては行かないだろうか。

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