国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパンのスタッフブログ

Read Article

可能性の塊~東ティモール独立10周年に寄せて

飛行機と子どもたち

飛行機と子どもたち

皆さんは東ティモールをご存知だろうか?

東ティモール民主共和国はオーストラリアの北500kmほどに位置するティモール島の東半分(名前の通り)を占めており、東京都と千葉、埼玉、神奈川3県を合わせたほどの土地に100万人ほどが住んでいる。

1975年に武力によってインドネシアに併合されるまではポルトガルの植民地だった(戦時中に数年間日本軍の支配下にもあったため、日本にとって全くかかわりのない地でもない)。
1999年に独立することとなったものの、独立反対派による破壊・暴力行為が多発し、国内の治安が悪化。治安を安定させるために多国籍軍が派遣され、国連による統治を経て正式に東ティモールとして独立したのは2002年になってからだ。

今年で独立10週年という若い国は、本来政府が提供すべき保健医療、教育や社会保障といったサービスが整っておらず、また独立時の混乱で道路や施設が破壊されたため、アジアの中でも最も貧しい国の一つとされている。

山村のようす

山村のようす

その東ティモールに行ってきた。あいにくの雨季である。
空港(というかセスナ機が離着陸できる空き地で、脇で牛が草を食べていたりする)は晴れていたが、内陸の山は雨雲に囲まれていた。その雲の中を小さなセスナ機で飛ぶことを考えると、ブランコの立ち漕ぎで酔ってしまう自分にとって、あまり楽しくないフライトが待っていることが予想された。

飛行機が着陸する音で来たのか15人くらいの子供たちがどこからともなく現れて、飛行機を取り囲んだ。体重計(小さい飛行機の場合、バランスを取るために乗客の体重を量って座席を決める)に乗ってはしゃいだり、飛行機を触ってみたりしている。
その中に小さなサッカーボールを持った少年がいたので、ボールを借りて少し蹴ってみるが、蹴っても「ベコッ」という音がして弾力がなく、日本だったらとっくに捨てているくらい空気の抜けたものだった。そういったなんでもないところに日本の豊かさを再認識する。

飛行機に乗って離陸準備が終わるのを待っている間、出張特有の睡眠不足からくる倦怠感に包まれながら、出張中に見た事・聞いた事がぐるぐると頭の中を巡っていた 。

笑顔で見送ってくれたサッカー少年

笑顔で見送ってくれたサッカー少年

谷間の土の細い道をぬっていかねばならない村。山間部の電気も公共の移動手段もない村。診療所や病院に行くにも山や谷を越え数時間かけて歩く必要があるといった村。住居も簡素でトイレなどもない家庭が多く、産業もないため、小規模な農業で暮らしている人たち。
そんな中にあっても笑顔で「ボンディア!!(おはようございます)」や「マライ!!(外国人)」、「#$%&“%!!(現地語が分からない自分には理解不能)」と大きな声で言いなが手をふる子どもたち・・・

そんなことを思い起こしながら、ふっと窓から外を見ると、さっきのサッカーボール少年が手を振っている。そして親指を立てた手をこちらに突き出しながら笑顔で見送ってくれた。飛行機が滑走路を動き出し、少年の笑顔は急速に遠ざかっていったが、彼の笑顔は脳裏からなかなか離れなかった。

風光明媚なティモール

風光明媚なティモール

離陸した飛行機は雨雲を避けて日の差す海岸線へ向かって飛んだ。空から見ると東ティモールは大変美しい国だ。山間部は森林に覆われ緑色で、海は澄んだ青である。

こんなに美しい国で多くの子どもたちが厳しい環境の下に生まれて来て、5歳の誕生日も迎えることが出来ずに短い人生を終えている。それは悲しみ憤るべき事であり、それに慣れてそれが普通になってはいけない。
子どもたちが可能性の塊であるように、若い東ティモールという国も多くの可能性に満ちているはずである。

子どもたちが安全に生まれ育っていくことができる東ティモールになるように、少しでも可能性が現実に変わるように貢献ができればと思う。

Return Top