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“Kingdom of Wonder”(不思議王国):カンボジアの育児術

■■ カンボジア王国は、高度経済成長期の真っ只中?? ■■

皆さんはカンボジアと聞いて何をイメージされるでしょうか。アンコールワット?地雷?猫ひろし?いずれにせよ、カンボジアは日本人にとって比較的馴染み深く、人気の旅行先の一つだと思います。

元気なカンボジアの子どもたち

笑顔が愛らしいカンボジアの子どもたち

カンボジア王国の面積は日本の約半分、人口は約1,470万人。驚くべきことに国民の平均年齢は23.9歳!(2015年、国連人口部)高齢化先進国の日本は46.5歳 と、その差は歴然としています。若年層が多い背景には、1975-79年のポル・ポト派の統治下で起きた大量虐殺という悲惨な歴史がありますが、現在のカンボジアにはこの若い世代のエネルギーが満ち溢れています。毎年の経済成長率は7%を超え、定期預金の利率が5-10%なのは当たり前。首都プノンペンでは至る所で建設工事が進行中で、通りにはバイクやトゥクトゥク(三輪タクシー)の群れに混じって、レクサスのような高級車も多く見かけます。スマホを片手にSNSやおしゃべりに夢中になっている若者でカフェは賑わい、数年前にプノンペンにオープンしたイオンモールは連日押し寄せる人の波を飲み込んでいます。まさに高度経済成長期真只中です!

至るところで建設ラッシュがつづくプノンペン周辺部

至るところで建設ラッシュが続くプノンペン中心部

そんなプノンペンの喧騒とは打って変わって、私が普段通う事業地タケオ州は、辺り一面どこまでも水田が広がる静かな場所です。プノンペンのほぼ真南に位置し、州都まで車で約2時間。州民のほとんどが農業と漁業に従事しています。長閑な雰囲気、穏やかな人々の笑顔が魅力的な場所ではありますが、貧しい農村の暮らしは厳しく、隣国ベトナムに出稼ぎに行ってしまう父親や母親、栄養不良に苦しむ子どもたちが後を絶たないという一面もあります。5-10月の雨期には道路が冠水してしまい、車やバイクではなくボートで移動しなければならない地域もあります。このタケオ州において、特に妊産婦や子どもたちが必要なときに適切な保健サービスを確実に受けられるようにすること。そのために、私は今カンボジアに駐在し、現地スタッフと協力しつつ奮闘する毎日です。

ところで「タケオ」という名前、日本人っぽくて親近感が湧きませんか?(私の義弟も「タケオ」という名前です。)え?もしかして日本人と何か関係がある!?と思って調べてみたところ・・・「タケオ」をクメール語で発音すると「ター・カェウ」ですが、これを訳すと「カェウおじいさん」という意味です。19世紀のフランス統治時代に、カェウ老夫婦が町づくりのために土地を提供したことから「ター・カェウ(タケオ)」という名前がつけられたとのこと…。日本とは全く関係ないですね(笑)皆さんもカンボジアへお越しの際には、ぜひタケオまで足を延ばしてみてください!

事業地タケオ州の田園風景

事業地タケオ州の田園風景

 

■■ ビックリ!カンボジア流の育児術 ■■

私は「タケオ州における母子保健改善事業」のプロジェクト・マネージャーとして働いています。仕事においては現地スタッフを束ねて、事業を管理していますが、家庭においては立場が違います。「妻」というプロジェクト・マネージャーの下、叱咤激励を受けながら「育児」という一大事業に取り組む日々です(2人の息子がいます)。ベビーカーを押しながら歩ける道路がほとんどないこと、昼間は暑すぎるので子どもがインドアで過ごしがちなこと等、異国ならではの育児の悩みはありますが、それでも、3歳の長男が覚えたての英語やクメール語を使って、ご近所さんや幼稚園の先生とコミュニケーションをとろうとしている姿は見ていて微笑ましいです。

母子保健改善事業の一環で行われた体重測定の様子

母子保健改善事業の一環で行われた体重測定の様子

国は違えど育児の大変さと喜びは同じ!ということで、こちらのパパ&ママ・スタッフとも子育て談義を楽しんでいます。今回は、そんな会話の中で登場したカンボジア流ビックリ育児術をいくつかご紹介したいと思います。

①赤ちゃんの目に母乳を垂らす!?
「うちの母は、私が小さいときに目に母乳を垂らしていたのよ。そうすると瞳がきらきらと輝くようにきれいになるって信じていたの」と語る同僚。他のスタッフにも訊いてみたところ「あるある~」とのこと。目薬じゃないんだから・・・

②枕元にはさみを置く!?
赤ちゃんが寝ているときには頭の上にはさみを置きます。なぜって?こうすると前世の母親がやってきて赤ちゃんを守ってくれると信じられているからです。枕元にはさみなんて何だか危なっかしいですよね。

③うちの子を褒めないで!?
カンボジア人は子どもをよくかわいがってくれます。私の息子たちも公園や市場を歩いていると、見知らぬ人から「ぽっちゃり太ってかわいいわね」なんて声をかけられ、ほっぺを触られます。それなのに、特に農村部や年配の方々の間では「うちの子を褒めないで!」と言う人がいるとのこと。「元気な子だね」なんて声をかけると、悪魔が悪さをしてその子を後々病気にしてしまうという迷信が浸透しているそうです。
※外国人がカンボジア人の子どもに対して褒め言葉をかけるのは問題ないようです。

ところ変われば育児術も様々ですね。ちなみに、カンボジア王国観光省がアピールのために自国に名づけた宣伝名は “Kingdom of Wonder”(不思議王国)です。次はどんなビックリに出会えるでしょうか。

事業地で生まれた赤ちゃんと筆者

支援対象地で生まれた赤ちゃんと筆者

*こちらの文章は、キリスト新聞(9月1日、11日)に掲載された記事を転載したものです

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【関連ページ】

カンボジア:国情報
政府・国連等との連携
「タケオ州における母子保健改善事業」に関するニュース(2017.05.12)
募金でこのプロジェクトに協力する【児童保護募金】

この記事を書いた人

松岡拓也
松岡拓也支援事業部  開発事業第1課 カンボジア駐在
東京外国語大学外国語学部英語科を卒業。在学中にインドのコルカタにある「神の愛の宣教者会」(マザー・テレサが創設した修道会)の施設でボランティア活動をし、「途上国」で生きる人々や彼らを支える人々の姿に心動かされる。大学卒業後、YKK株式会社にて勤務するが、インドでの体験が忘れられず同社を退職し、青年海外協力隊(村落開発普及員)としてボリビアに赴任する。現地では標高4,000メートル近い高地の田舎町に派遣され、役所、現地住民、NGOと協力しながら学校給食改善プロジェクトや衛生教育、女性グループの収入向上活動などに携わる。帰国後、日本貿易振興機構アジア経済研究所開発スクール(IDEAS)で学び、開発専門家養成のための研修課程を修了。2012年8月にワールド・ビジョン・ジャパンに入団し、支援事業部 開発事業第1課にて勤務。現在カンボジアに駐在中。
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