【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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春が来た!

Chúc mừng năm mới! (新年、明けましておめでとうございます!)

桃の花

ベトナムの旧正月の花・桃

2月19日、ベトナムは旧正月のテト(tết âm lịch=「陰暦の節」。今年はヤギ年)を迎えました。今年のテトは、ハノイに近い同僚Tの実家に6日間お邪魔したので、その様子をお伝えしたいと思います。(以前、三浦スタッフが紹介したベトナム旧正月のテトの習慣はこちら

ベトナムでは3人のかまどの神様が家庭を守っているとされています。この3人の神様が魚に乗って天に昇り、天の神様にその家族の一年の様子の「年次報告」を行う陰暦12月23日頃から本格的にテトに向けての準備が始まります。

バイン・テト

丸い形をしたバイン・チュン(バイン・テト)

テト前には、魔よけの桃の木や金運祈願の金柑の木を家の前に飾ったり、親戚の子どもたちやお年寄りへのお年玉を用意したり、お歳暮を持って普段お世話になっている人に感謝の挨拶をします。

またテトの間、家族や訪問者に振舞う食べ物やお菓子の準備を行い、家族によってはテトの時に食べるバイン・チュン(ちまき)を1日かけて準備することもあります。(大地の恵みを表す食べ物で、もち米、豚肉、緑豆の餡をゾンの葉っぱでくるみ、10時間ほど煮たもの)

同僚Tには去年100歳を迎えたおばあちゃんがいるため、そのお祝いに親戚一同と村中の人たちが挨拶に来る、ということで特に女性たちはテト期間中、朝から晩まで料理と皿洗い、花や食材の買出しで大忙しでした。

大晦日1週間前くらいから、ほぼ毎日同僚Tの叔父さんたちや従兄弟、その子どもたちや同郷の同僚スタッフVが家を訪れて食卓を囲みます。(そしてテト期間中、互いの家を訪問し合います)

ベトナムの「家族・親戚」の定義は広く、同僚Tの妹の夫の兄家族も訪問していました。時には、ほろ酔いの近所のおじさんが夕食時に小さい孫と一緒に来て「普段会えない家族や旧友に会えるテトは最高だ。やっぱりテトはこうじゃなくちゃ」と熱く語っていくこともありました。

ベトナムでは、お正月の一日目は父親の実家、二日目は母親の実家、三日目は恩師のお宅を訪問する習慣があるそうです。そして一年の最初に訪れた人が家族のその年の運勢を左右すると言われています。

こうして迎えた元旦の朝。
「今年の最初のお客様は、ちょうちょだよ!」
同僚Tの娘がうれしそうに指差した庭先の黄色いからし菜の花の上を、数匹の白い蝶がひらひら飛んでいるのが見えました。マンゴーやザボンの木に花が咲き、菊や桃の花の周りにはミツバチがブンブン飛びまわっています。大晦日まで蕾だった百合の花も開花し、甘い香りを漂わせながら春の訪れを祝っているようでした。

新年のあいさつ

新年の挨拶に来た親戚・近所の人々

元旦の午前中、オレンジの瓦屋根の伝統的な家に住む100歳のおばあちゃんのお宅にご挨拶に行くと、黒頭巾をかぶり、お歯黒をし、赤いアオザイを着たおばあちゃんの元には大勢の人たちが長寿のお祝いの言葉を伝えに来ていました。

家の真ん中にある先祖を祭る祭壇には線香とお正月の食べ物が捧げられ、訪問者には、梅の砂糖漬けやかぼちゃの種、温かく渋いベトナムの茶やお酒が振舞われます。そして昼食や夕食時には、鶏肉のハムや豚肉の煮こごり、魚の煮付けやバイン・チュンが出されます。

そして食卓にはこんな会話が飛び交います。

「今年のテトは暑いなぁ~」
「この裏庭のスターフルーツ、甘くて美味しいね」
「あの子、大きくなったなー。今、何年生?」
「やっぱり故郷のブン(米粉麺)は格別だ」
「日本では旧正月祝うの?」
「ほら、遠慮しないでもっと食べなさい」
と、お茶碗の上にどんどん茹でた鶏肉がのせられていきます。

スターフルーツの木

庭のスターフルーツの木

「戦後、ベトナム全体が飢えていた時代は、一年中貧しかったとしても、テトの間だけは新しい服を着てお腹いっぱい食べられるように、みんな苦労したものだよ」と同僚の叔父さんは話していました。(そのためか、テト前に地方の貧しい家庭や子どもたちに洋服や食べ物を送るボランティアをするベトナム人も多いようです)

最近では、ベトナムでも準備の大変さや親戚づきあいの煩わしさから、テトの間に旅行に出る家族も多くなってきているようですが「お正月は家族や大切な人と過ごすもの」、というのは日本と変わらない感覚ですね。ベトナム中の家族が、お腹いっぱい食べられるテトが早く来ることを願ってやみません。

金柑の木

金柑の木

最後になりましたが、テトにあたり、皆さまのご健康と幸せをお祈りしております。日本とベトナム、世界中の子どもたちが大切にされ、安心して健やかに生きていくことができますように。

この記事を書いた人

木戸梨紗
木戸梨紗エチオピア駐在 プログラム・オフィサー
上智大学比較文化学部卒業(専攻:社会学・文化人類学)。ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院でMSc. Reproductive & Sexual Health Research修士を取得。
2010年1月 ワールド・ビジョン・ジャパン支援事業部開発事業課(旧 海外事業部開発援助事業課)、ジュニア・プログラム・オフィサーとして勤務。2012年1月より、プログラム・オフィサー。2012年12月より2016年3月までベトナム駐在。2016年4月からエチオピア駐在。
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