【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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私を見て!

事業地のディエンビエン省に住む少数民族の女性の衣装はとても色鮮やかです。

トアンザオ郡の白モン族

トアンザオ郡の白モン族

特にモン族の女性の衣装は、トアンザオ郡の白モン族の場合、明るい青を基調とした生地に黒のボーダー袖つきトップ、頭には黒い布の上にオレンジの花飾りをつけたターバンか、目の覚めるような色のスカーフをつけています。ムオンチャの赤モン族の場合は、黒の生地に赤や黄、緑色の糸で美しい刺繍をほどこしたスカートをはいています。(同じ色のモン族でも、住む地域によって服のデザインが違います)

ムオンチャ郡の赤モン族

ムオンチャ郡の赤モン族

夏の澄んだ空の下、生い茂る木々の緑の合間でも、冬の乾燥し赤茶けた山肌の中でも、モン族の衣装の色は良く映え、遠くからでも見つけることができます。

ある時、現地スタッフがこんなことを話していました。「モン族の女性の衣装は、なんであんなに色鮮やかなんだと思う?私はね、きっと彼女たちは、一日中、山の田畑で働いて、あんまり人に会うこともないし、誰に気づかれることもないから、『私を見て!私はここにいるよ!』って、衣装でみんなにアピールしてるんだ、って思うんだ」

トアンザオ郡の赤モン族

トアンザオ郡の赤モン族

どんな洋服を着るかの理由は、人それぞれですし、着る服にもよるとは思いますが、確かに、「私を見て!」という気持ちは、誰でも少なからずあるのではないでしょうか? ベトナムの北西部の山間地でひっそり暮らす少数民族の女性たちも、人の溢れる東京の街中を歩くオシャレな女性たちも、「私を見て!」という根っこの気持ちは同じかもしれないと思うと、なんだか不思議な気持ちになります。

隣のトゥアチュア郡の白モン族の衣装

隣のトゥアチュア郡の白モン族の衣装

ファッションから話題が離れてしまいますが、「私を見て!」というフレーズで、東日本大震災の3カ月半後に訪れたチャイルド・フレンドリー・スペースの子どもたちが、「私が鉄棒するの、見ててね!」「ねぇねぇ~ちゃんと見てた?」と、聞いている私の心が痛むほどに、何回もこう言っていたのを思い出しました。

また数年前、バングラデシュのフルバリアADPの少数民族のコミュニティーを訪れた際の村の代表の方の、こんな言葉も思い出します。「私たちはずっと、見放されている、と思っていました。でもこうして、遠くにいる日本のみなさんが、私たちに目をとめてくれたことが、大きな励ましになりました」

あなたのこと、ちゃんと見てるよ。
大切に想ってるよ。
忘れてないよ。
あなたの幸せを祈ってるよ。
応援してるよ。

「私を見て!」と心の中で叫んでいる人に対して、自分からこう伝えられることができたら―。ただこう言われるだけで、その気持ちを態度として示されるだけで、それを大きな力に変えることができる人は、たくさんいるのかもしれません。

冬の朝靄の中、大きなかごを背負って歩く、色とりどりの民族衣装の女性たちを見ながら、彼女たちは何を考えているんだろう、どんな気持ちなんだろう、もっと知りたいな、と思う日々です。

白モン族の衣装を着せていただきました

白モン族の衣装を着せていただきました

 ベトナム駐在を開始して1年が経ちました。皆さまのご支援で事業地のお母さんと子どもたちに支援を届けることができていることを感謝いたします。2014年が、皆さまの健康が守られ、実りある素敵な一年となりますようにお祈りいたします。

この記事を書いた人

木戸梨紗プログラム・コーディネーター
上智大学比較文化学部卒業(専攻:社会学・文化人類学)。ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院でMSc. Reproductive & Sexual Health Research修士を取得。
2010年1月 ワールド・ビジョン・ジャパン入団。2012年12月より2016年3月までベトナム、2016年4月から2018年3月までエチオピア駐在。専門領域は母子保健。
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