【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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障がいのある人もない人も住みよい社会へ

2014年1月、日本政府は世界140カ国と欧州連合が締約している「障がい者の権利に関する条約」を批准しました。このことによって国内の障がいを持つ人々が差別や排除を受けずに暮らせる社会づくりが進むことが期待されています。

また、この条約は「国際協力」についても触れていて、政府がODA等を通じて,途上国の障がい者の権利向上に貢献することもうたわれています。

国際社会はこれまで世界のすべての人が持つ基本的人権についての様々な宣言、条約をつくってきました。女子差別撤廃条約や子どもの権利条約など、個別の権利に関する条約もそこに含まれていますが、障がいを持つ人々の権利についての条約も作る必要がある、という提案は長くからされてきました。

モンゴルの子どもと筆者(障がい児リハビリテーション・センターにて)

モンゴルの子どもと筆者(障がい児リハビリテーション・センターにて)

ユニセフは、障がいを持つ人々は世界の人口の約15%と推計し、世界最大のマイノリティー(少数者、弱者)であるとしています。また世界銀行は、世界で最も貧しいとされる20%の人々がなんらかの障がいを抱えており、その地域の中で不利益を被っているのみならず、開発からも取り残されている、と述べています。

世界の障がいを持つ人々の82%は貧困の状況に置かれ、障がいを持つ子どもたちの内、90%は教育の機会から遠ざけられています。国連のミレニアム開発目標(MDGs)をはじめとした様々な開発の目標も、障がいの問題に取り組まずには達成できないことは明らかです。「障がい」の問題は、「開発」の問題でもあるのです。

従来の障がいのとらえ方は「医学モデル」というものでした。これは障がいを持つ人が社会で直面する様々な問題は、そのひと個人の問題だとする考え方でした。そこで医学的な治療やリハビリテーションに重きが置かれ、支援も医療や教育専門の機関、団体に限られていました。このとらえ方だと、人としての権利をすべて享受するには、障がいがない人のように治療やリハビリテーションがなされないといけない、という考え方が広まる点が課題でした。

これに対して、この権利条約を始め、近年の国連機関やWVのようなNGOの障がいへの取り組みは、障がいを個人の問題ととらえるのではなく、社会の問題ととらえる「社会モデル」によって進められています。社会モデルは、障がいを持つ人々が直面する社会的不利は、社会に存在する様々な障壁(バリア)に問題がある、とする考え方です。

社会に存在する障壁には例えば車イスを利用する人を阻む段差のような物理的なもの、障がいを理由に参加をさせない制度や規則、そして人々の偏見や差別的な態度、といったものがあります。WVのような地域開発に取り組む団体は、その開発の中でこれらの障壁がない地域づくりを進めています。

チャイルド・スポンサーからの手紙を喜ぶ子ども(中国)

チャイルド・スポンサーからの手紙を喜ぶ子ども(中国)

チャイルド・スポンサーシップを通してご支援いただいているチャイルドの中にも障がいを持ち、地域で暮らす子どもたちが含まれています。途上国であるが故に、地域社会の中にある物理的あるいは制度や規則の障壁は先進国の何倍にもなります。差別や偏見が貧困や性別などの理由で助長されることも少なくありません。

チャイルド・スポンサーシップを通じた皆さまのご支援は、これらの障壁を取り除く長いステップの一歩一歩を支えるものです。そして子どもたちへの「一人ひとりが等しく大切な存在であり、そのことを覚えている人が世界のどこかにいる」というメッセージを伝えるものでもあるのです。


 


生まれながら聴覚障がいのあるジョナリンちゃん(フィリピン)のストーリー

“わたしにも何かできることは?”
そんなあなたの「思い」が届く先には、
子どもたちの笑顔あふれる「未来」が待っています。
チャイルド・スポンサーを募集しています。

この記事を書いた人

平本実
平本実支援事業部  開発事業第2課 バングラデシュ駐在
国立フィリピン大学社会福祉・地域開発学部大学院留学。
明治学院大学大学院社会学研究科社会福祉学専攻博士前期課程修了。
社会福祉専門学校の教員を経て、2000年1月より社団法人日本キリスト教海外医療協力会のダッカ事務所代表としてバングラデシュへ3年間派遣。
2004年12月から2007年3月までは国際協力機構(JICA)のインド事務所企画調査員。
2007年9月から2年半は、国際協力機構(JICA)のキルギス共和国障害者の社会進出促進プロジェクトで専門家として従事。
2010年9月、ワールド・ビジョン・ジャパン入団。支援事業部 開発事業第2課 プログラム・オフィサー。
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